その話題が上ったのは七夜志貴が『七夫人』を娶り、そして時南宗玄の娘朱鷺恵を主治医として迎え入れてから暫く経った時だった。

「ねえねえ、翡翠、琥珀」

『七夫人』とレン、そして朱鷺恵、つまり志貴を除く『七星館』の住人がのんびりとお茶を飲んでいる時に上った。

ちなみに当の本人である志貴はと言えば何時ものようにゼルレッチに呼ばれ、今頃は士郎と死都の制圧を遂行している頃だろう。

「はい?何ですか?アルクェイドさん」

「何でしょうか?」

「うん・・・二人に聞きたいんだけどさ・・・志貴とエッチな事したの結婚してからだよね?」

『!!!!!』

思わぬ質問に聞かれた方は無論、聞いていたアルトルージュ、秋葉、シオン、さつき、レン、更には聞いたアルクェイドすらも程度の差こそ、あれ頬を赤らめた。

「も、もちろんです!!」

「あ、あの初夜に私も姉さんも志貴ちゃんに処女を捧げたんです!!」

初夜において志貴は、まさしく底無しとも取れる精力を遺憾なく発揮し『七夫人』全員の処女を奪い、レンとも正式に契約を結び、それが終わると今度は自分が愉しむ為に全員のタイプの全く違う肢体を思う存分嬲り尽くした。

ここで余談だが、驚く事にアルトルージュも処女だった。

確かに活動している時間は、ここにいるメンバーの中でも一番長い。

だが、死徒の姫君と称えられ神聖不可侵の立場であっただけに、そういった色艶事には妹と同じ位初心だった。

良く『私の魅力に・・・』とアルクェイドと張り合っていたが、それも半分意地に近いものであったようだ。

「だけどさ・・・変じゃない?志貴ってすごく強いし・・・すごいし・・・高校生していた時は私達にそういった事一度もしていないのにさ」

そう、学生時代の志貴もそうかと言えば全員が否定する所である。

それどころかそんな傾向すらも見られず、一つ屋根の下で秋葉とさつき、そして朱鷺恵を除いて六人と同居していたにも拘らず手を出す事も無く三年間を過ごし婚約時もそのような素振りを見せる事も無かった。

そしてそれはレンですら同様であり、あの当時は精による契約ではなく、血による仮契約を徹底していた。

「だからさ・・・志貴ってそっちの方だとすごく淡白かなって思ったんだけど・・・」

「そうだよね・・・志貴ちゃん・・・すごかった」

「うん・・・」

具体例を挙げていけばまず、最初は一人ずつじっくりと愛してから処女を奪い、それに妻達が慣れて行くと志貴はプレイを過激にし始め、俗に言えば3P、4P、挙句には八人全員との乱交と、どんどんエスカレートしていった。

姉妹丼、双子丼も当たり前の様にこなし、更に恐ろしい事に衰える事も知らなかった。

夢魔でありそういった欲望にも慣れ、それなりに経験もあったレンですら最終的には人形の様にぐったりとなった状態で、志貴の責めに機械的な反応しか見せる事しか出来なかった程だ。

経験が皆無の『七夫人』など束になった所で絶倫、ケダモノと化した志貴に勝てる筈もなかった。

「そういえば変だよね・・・志貴ちゃんどうしてあんなに強いんだろう・・・」

「それに志貴ちゃん時々変な事も要求するし」

「私、閨毎に志貴にどんどん開発されちゃってるし・・・最近じゃ志貴との夜になるとその・・・濡れちゃうし・・・」

「あ、アルクちゃんも?実は・・・私も・・・」

「う、うん・・・志貴君って妙にマニアックな所もあるし・・・」

「そうですね・・・兄さん夜だと恥ずかしい事ばかり要求しますし・・・」

「しかもそれを行う志貴の手腕が巧み過ぎる所為で・・・身体の方が正直に感じてしまいますし・・・」

「・・・(こくり)」

一体志貴は美しき七人の妻と使い魔にどの様なプレイをしているのだろうか?

興味にそそられるだろうが、それはこの話とは別である。

話を戻そう。

『七夫人』が顔どころか、うなじまでを真っ赤にして相談なのか自慢なのか判らない事を言っていると今まで表情を変える事無く黙っていた朱鷺恵が笑顔のまま

「そうなんだ。志貴君そんなに上手になっていたんだ。ふふっ最初の頃の初心な志貴君が嘘みたい」

聞き捨てならないというか、とんでもない事を何気なく口にした。

『!!!!』

その言葉を耳にした『七夫人』とレンが一斉に朱鷺恵を見る。

「と、朱鷺恵お姉さん・・・それどういう意味ですか?」

琥珀がやや声を低くして尋ねる。

「あら?知らなかった」

『初耳です!!』

「そうなんだ・・・」

暫し思案する。

志貴には黙っていてくれと頼まれているが、どの道ばれるのだから、今言ってもそう大差無いだろう。

そう判断すると

「ふふっ、簡単よ。私が志貴君の初体験の相手だったの」

爆弾発言を笑顔で炸裂させた。









志貴と朱鷺恵、二人がその関係になったのは高校一年、遠野との抗争も終焉し諸々の事態も沈静化したある秋の事だった。

その日志貴は時南医院を訪れ久しぶりに宗玄の整体を受けようとやって来たのだが、出迎えたのは何時もの家政婦でなく朱鷺恵だった。

「志貴君いらっしゃい」

「朱鷺恵姉さんご無沙汰しています。ところで爺さんは?」

「お父さんなら街の方に出かけちゃったわ。なんでも昔のお友達と会ってくるって言っていたから夜まで帰らないと思うわ。お父さんがいないから家政婦さんも今日は臨時でお休みして貰って私だけなの」

「そうなんですか?タイミング悪いな・・・久しぶりに爺さんに整体して貰おうと思ったんだけど・・・仕方ないか又出直し」

その志貴の言葉を遮るように

「だったら志貴君私の整体でも受けていく?」

「へっ?姉さんの?」

「ええ私も整体を習ったのよ。お父さん直伝の、お父さんに比べたら少し見劣りすると思うけど・・・どうかな?」

朱鷺恵の提案に志貴は直ぐに頷いた。

「そうなんですか?姉さんの整体も受けてみたいな・・・じゃあ、お言葉に甘えても良いですか?」

「ありがとう志貴君、じゃあ上がって」









そして診察室に入ると

「じゃあ志貴君服脱いで」

「やっぱりですか?」

「当然よ」

朱鷺恵に裸を見られるのは初めてではない。

それどころか何度か見られているが、それでも恥ずかしいものは恥ずかしい。

渋々だったが朱鷺恵に促され、服を脱ぎうつ伏せに寝転がる。

「じゃあ始めるわね・・・えっとこうかな?」

「ぐおっ!!」

「で・・・次は・・・」

「あがっ!!」

整体を受けているとは思えない悲鳴が響き渡り数十分後、

「はいこれで終わり・・でどうかな?志貴君?」

「・・・一瞬姉さんの事を『くそ藪』と思いました」

短いがそれに志貴の感情の全てが篭っていた。

宗玄と朱鷺恵、若干の癖の違いはあるがそれは紛れも無い地獄の整体フルコースだった。

「取り敢えず重心が左により過ぎていたからそれを少し修正しておいたけどどう?」

「ええ、身体も軽いです」

「良かったわ。じゃあ後鍼も打つからそのままでいて」

「はい」

それから直ぐに朱鷺恵はうつ伏せのままにしている志貴に鍼を打っていく。

「どう?」

「ええ・・・なんか疲れが取れるようです」

のんびりと会話をしていた二人だったが

「そう?良かった・・・あっ!!」

突然朱鷺恵が甲高い声を上げる。

「えっ?姉さん今・・・『あっ』て言いました・・・けど・・・」

それに反応する志貴の声も妙に上ずっていた。

急に下半身の一部に血が集まっているのを自覚した為だ。

おまけに異様に性欲に駆られつつある自分をはっきりと自覚していた。

「ご、ごめんね志貴君・・・疲労回復のつぼに鍼を打とうとしたら・・・過って精力と性欲増強の方を打っちゃった・・・」

わざとではないのだろう。

朱鷺恵が申し訳なさそうに言う。

そんな朱鷺恵を見ては志貴もそれほど強く言う事ができないが

「でも・・・どうしよう・・・これ・・・」

起き上がって困り果てたように言う。

「え、ええ・・・」

朱鷺恵も若干息を呑む。

そこにはトランクスの一角を大きくつきたてて、テントを形成している志貴の肉棒がある。

「一番手っ取り早いのは・・・自分で解消するしかないな・・・」

そう言ってマスターベーション・・・早い話、オナニー・・・を始めようとした志貴の手を朱鷺恵が止める。

「待って志貴君それだったら私が解消するお手伝いしてあげる」

「ええっ!」

あまりの提案に大声を上げる。

「だって・・・こうしちゃったのは私の所為だし・・・大丈夫。事故だということで翡翠ちゃんたちにも黙っておくから」

そう言って問答無用で志貴のトランクスをずり下げる。

「ね、姉さん!!」

「大丈夫・・・うわあ・・・志貴君すごく大きい・・・」

朱鷺恵は感嘆の声を上げる。

それも無理ではない。

志貴のそれは朱鷺恵が今まで見てきたどのものよりも太く、長かった。

これがまだ高校一年とは思えないほど・・・

これで更に成長すればどれだけのものとなるのだろう?

おまけに、

「志貴君もう包皮剥けているんだ?」

皮も剥け亀頭がビクビク震えている。

「あ、あううう・・・ね、姉さん・・・お願いだからまじまじと見ないで」

後年には初心な妻七人にやりたい放題やる志貴も、この時ばかりは顔を真っ赤にして朱鷺恵の視姦にじっと耐えている。

だが、朱鷺恵はあえて別の意味に間違えた。

「そうね。このままじゃあ志貴君辛いものね。じゃあ始めるわよ」

そう言うとほっそりとした指を志貴の肉棒に這わせる。

「うわあああ!!」

思わぬ感触にあらぬ声を上げる志貴。

「うふふ、志貴君ったら・・・そんな声出しちゃって・・・可愛い」

そう言いながら、優しく撫でる様に指先が志貴に例えようのない快感を与えていく。

「あ・・・う・・・ああああああ・・・」

あまりの気持ち良さに声も出せず。朱鷺恵のされるがままにいじられる志貴。

「あら?志貴君持ちが長いのね。まだ出さないなんて・・・それともやせ我慢かな?」

面白そうに尋ねる朱鷺恵の声に答える余裕すらない。

志貴の肉棒はもう限界を大きく超えいつでも射精してもおかしくないほどだった。

それは我慢と言うよりも異常な大きさに勃起している為それが逆に射精を抑制していた。

「じゃあ・・・こうしちゃおうかな〜」

そんな楽しそうな声を発すると躊躇いも無く朱鷺恵は志貴の肉棒を咥えた。

「!!!」

突然与えられた快感に志貴は声も出す事が出来ない。

「ん・・・んくっ・・・」

朱鷺恵は声も無く歯を当てないように唇を窄めながら自分の身体を上下に動かしフェラチオを続ける。

「はが・・・あがががああああ・・・」

未だに射精せず限界を遥かに超える快楽の中志貴はただただ翻弄されていた。

更に朱鷺恵の舌が口の中で志貴の裏スジをつつっと舐める。

それを合図としたかのように遂に決壊の時が来た。

「あああああああああ!!」

野獣の咆哮を思わせる大声をあげる志貴とそれに呼応するように、大きく震え、精液を朱鷺恵の口内で射精する。

「!!んんっ!!」

突然の射精に驚いた様に志貴の肉棒を口から離すが、勢い良く吹き出す志貴の精液が朱鷺恵の顔を白く汚す。

やがて、射精の勢いも収まり、止まる。

「けほっけほっ・・・もう志貴君、元気あり過ぎよ・・・あれ?志貴君?」

朱鷺恵があまりの快感に忘我状態の志貴を心配そうな口調で声を掛ける。

まあ今更どうかと思うが・・・

「・・・う・・・あ・・・」

「??」

「うわあああああああ!!」

「えっ?ちょっと・・・きゃあ!」

雄叫びを上げながら、朱鷺恵を引き寄せ、寝台に押し倒すと、力任せにブラウスとブラジャーを引き千切る。

「だ、駄目よ!!志貴君!!んぁあぁあ!」

必死に押し返そうとした朱鷺恵だったが、志貴は構う事無く、彼女の両腕を押さえ込み無防備となった朱鷺恵の乳房を揉み上げ、乳首に舌を這わせる。

それに思わず嬌声を上げる朱鷺恵。

「ひゃあああん!し、志貴君・・・じょ・・・上手すぎ・・・ああん・・・」

確かに志貴の手腕は初めてとは思えないほど手馴れたものだった。

しかもその眼は未だに焦点が合っていない。

すなわち我を忘れた状態でこの技巧者振りを見せつけている。

いやもしかしたら、我を忘れているからだからかも知れないが。

ともかく志貴は時には撫でる様に、包む様に、時には握る様に朱鷺恵の乳房を愛撫し、乳首も舐める時もあれば、赤子が母親の母乳を飲む様に音を立てて吸い上げ、歯を軽く立てる時もある。

それに対して朱鷺恵の方は

「ん・・・ああ・・・そ、そこっ・・・し、志貴君・・・ねえ・・・もっと・・・」

年上の女性の余裕をなくし、抵抗する力も失せ、既に志貴のされるがままだった。

そして胸に飽きてきたのか、志貴は新たな標的に視線を移す。

それ・・・スカートをたくし上げるとストッキングと一緒にショーツを引き摺り下ろす。

既にそこは十分過ぎるほど潤っていた。

「や、やああ・・・」

初心な少女の様に恥ずかしがりながら必死に志貴の視線から逃れるように腰をよじらせる。

しかし、それは許さないとばかりに両手でしっかり押さえ込むと、躊躇う事無くそこにむしゃぶりつく。

「や、やああん!し、志貴くぅん・・・じょ・・・上手・・・んんっ!・・・過ぎ・・・」

診療所に朱鷺恵の押し殺した喘ぎ声と、ぴちゃぴちゃと何かを舐める音だけが響く。

だが、それも終局に近付く。

「ひっ!・・・だ、駄目!!そ、それ以上されたら・・・私!」

朱鷺恵の声に調子に乗ったのか、志貴は遂に割れ目の上にある、包皮に包まれた箇所を丁寧に剥くとそこを一気に舐めた。

「!!ひぃあああああああああああああ!!!」

それに耐えられなかったのだろう。

朱鷺恵はひときわ大きな声で鳴きながら絶頂に達し、秘部からは愛液が一気に噴き出し志貴の顔を汚した。









忘我状態の志貴が我に返った時感じたのは顔にかかる暖かい液体だった。

「へっ?」

思わず素っ頓狂な声を出した志貴の眼に始めに飛び込んで来たもの、それは艶かしく濡れ、何かを求める様に、ひくひくと蠢く・・・

「えっ?ええっ?こ、これって・・・」

見覚えがある。

何時だったか、有彦が秘蔵していた裏ビデオを見せられた時に出てきた・・・

「う、うわっ!!」

思わず顔を上げると次に映るのは、自分の目の前に衣服をほとんど脱がされまだ身に着けているものも大きく乱れさせたまま、豊満な胸を大きく上下させている上に、

「はぁ・・・ぁぁ・・・」

言葉になっていない言葉を発する朱鷺恵の姿があった。

「ね、ねねねねねねねね、姉さん!」

心臓が停止するかもと思うほど驚き、飛び上がる。

「姉さん、朱鷺恵姉さん、だいじょ・・・むぐっ!!」

慌てて安否を確かめようとした志貴の口を、朱鷺恵の口が塞ぐ。

暫く志貴は、朱鷺恵にされるがままだった。

たっぷり一分程・・・いや、もしかしたらもっと短いかもしれない・・・キスをかわしてから朱鷺恵はようやく志貴の唇を解放する。

「・・・はぁ・・・志貴君落ち着いた?」

にっこり笑って尋ねる朱鷺恵。

その口調は何時もと変わらない朱鷺恵のものだった。

しかし、その顔には快楽の余韻が頬の紅潮という形で現れていたが。

「は、はい・・・」

「じゃあ続きをしましょう」

「へっ?」

思わぬ言葉に志貴は再度固まる。

「もう、志貴君、お姉さんをこんなにしておいて、そのままなんて無責任な事は言わないわよね?」

とんでもない言葉を平然と言う朱鷺恵。

見ればその瞳は焦点が合っておらず、色欲に満ちていた。

「い、いや姉さん・・・」

焦点の合っていない眼に押されるように離れようとする志貴だったが、わずかに遅かった。

朱鷺恵にあっと言う間に捕まり押し倒される。

「うふふ、それに・・・志貴君のこ・こ、まだ満足していないみたいよ」

朱鷺恵の言うとおり、志貴の肉棒は未だ隆々とそそり立ち、獲物をしきりに欲していた。

「本当、すごいわ・・・ビクビク脈打ってるし・・・じゃあ志貴君にご褒美あげちゃうわね」

そう言い、来ていた残りの服を脱ぎ捨て志貴の上に跨る。

「ね、姉さん・・・お、俺・・・」

志貴は初めて見る憧れの女性の裸を見上げながら辛うじて声を発する。

「初めてなんでしょ?じゃあお姉さんが志貴君の筆下ろしね」

そう言い志貴の言葉を遮ると、その手に志貴の肉棒を添えて自分の秘部に当てる。

ただそれだけだと言うのに志貴に腰が抜けるほどの快感が襲う。

「まだ駄目よ。これからが本番なんだから・・・じゃあ入れるわよ・・・」

そう言ってから朱鷺恵は重力に従って腰を下ろす。

「ぐうっ!」

「はあああん!!」

強い快感に志貴は苦痛めいた声を発し、志貴の肉棒の太さに朱鷺恵は快感の声を発する。

「んんっ・・・いい・・・良いわ・・・志貴君・・・ああっ、志貴君の・・・すっごく太い・・・」

頬を紅潮させて、自分から腰を上下に動かし、貪るように志貴とのセックスを愉しむ朱鷺恵。

大きく、小さく、またゆっくりと、時には激しく、朱鷺恵は腰を動かすが、やがて変化が訪れた。

「あ、ああっ・・・ね、姉さん・・・気持ち良い・・・」

夢心地な声を発し、志貴は朱鷺恵の腰を掴むと自分から腰を動かし始めた。

「んああっ!!良いわ!志貴君もっと奥突いて!」

志貴の積極的な行動に朱鷺恵も嬉しそうな声を上げておねだりを始める。

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・はあ・・・」

「あっあっあっあっ・・・・だ、だめぇ・・・気持ち良過ぎる・・・志貴君はげし・・・すぎ・・・」

志貴はもう声すら発せず、全身汗まみれにしながらただ、獣のような呼吸音だけを口から吐き出し腰を動かして朱鷺恵の膣を存分に味わい、朱鷺恵はもはや志貴にされるがままになり、快楽の声を発している。

当然の話だが、今が初体験の志貴にはこれと言ったテクニックなど無い、ある訳がない。

あったら怖すぎる。

だが、志貴は自身の生まれ持った武器を最大限活用して、年上の朱鷺恵を完全に蹂躙していた。

いつの間にか体勢は逆転しており、朱鷺恵は寝台に寝転がり、志貴は朱鷺恵の上に覆い被さる様に、腰を動かし、朱鷺恵を抉っていた。

「はあっはあっはあっ・・・ね、姉さん・・・俺・・・もう・・・」

志貴の切羽詰った声に何が起こるかわかったのか、朱鷺恵は表情を一変させる。

「!!だ、だめっ!!志貴君中は・・・ああっ!!中はだめぇ!!!」

朱鷺恵の残された理性を全て振り絞った声に、志貴もわずかな理性と意思を総動員して限界の一歩いや、半歩手前で自身の肉棒を引き抜く。

それはまさに間一髪だった。

引き抜くと同時につい先刻出したとは思えないほど濃く、大量の精液を放出し、志貴は遠慮もなく朱鷺恵の身体にかける。

その精液の熱さに、朱鷺恵も限界を超える。

「んああああああああああああああああああ!!!」

何時もの彼女からは想像も出来ない、あられもない嬌声を上げて朱鷺恵も絶頂に達した。









それから三十分後・・・

志貴と朱鷺恵は性交の後始末をし、二人して浴室で情事の痕跡を跡形もなく消し去る。

「・・・」

「・・・」

その間二人とも無言であったが、二人が服を着直した時、

「志貴君」

何時ものような柔らかい声で朱鷺恵が話しかけてくる。

「は、はい・・・」

それに対して志貴の方は表情も声も重く暗い。

当然であろう、自分の欲望に負けてよりにもよって、昔から良く知る憧れの人を汚してしまったのだから。

「これは事故よ。だから志貴君には何も責任はないから」

優しく志貴を諭す朱鷺恵だったが、これで終わらなかった。

「でもね、お姉さんを夢中にさせちゃった事については責任とって貰わないと」

「え?責任??」

先程とは打って変わって、責任と言う言葉にややひく志貴。

「ええ、志貴君のここすごいから、お姉さんが志貴君のそっちの先生になってあげる」

「は、はい??」

とんでもない提案に志貴は今度こそ言葉を失う。

「だ・か・ら、私は志貴君にいろいろな事を教えてあげるから、志貴君は私との授業の時には、私を気持ち良くしてね。それが授業料」

「い、いや・・・『良くしてね』って言われても・・・」

抗弁を試みる志貴に

「それに志貴君にとっても悪い話じゃないわよ。ここでそういった経験つんでおけば、いざって言う時、翡翠ちゃんたちすごく喜ぶわよ」

「で、でも・・・」

何がいざなのか良くわからなかったが、それでも抵抗を続ける志貴だったが、すでに朱鷺恵は退路を塞いでいた。

「それに、うんって言わないと大変な事になると思うわよ」

そう言って懐から取り出すのは一本のビデオテープ。

それを見た志貴は蒼ざめる。

「まさか・・・それって・・・」

「察しがいいわね、考えている通りよ。私と志貴君のエッチを撮ったの」

「何時撮ったんですか!!」

思わず絶叫する。

「狙ってじゃないわよ。防犯テープよ。カメラもほらあそこに」

指差す先には巧妙に隠されたカメラが設置されていた。

「それを爺さんに見せるとか?」

恐る恐る尋ねる。

おそらく従来の整体フルコースを十本セットでやられるかもしれない。

「ううん、お父さん志貴君の事気に入っているから、あまり気にしないと思うわ」

「はい?じゃあそれをどうするんですか?」

「え?翡翠ちゃん達に見せるだけよ」

さらりと言った言葉に志貴は今度こそ真っ青になった。

こんなものを見た日には間違いなく修羅場が待っている。

想像する・・・想像すらも放棄した。

それだけ恐ろしかったから。

「・・・朱鷺恵姉さん」

「なに?」

「授業の件・・・是非ともお願い致します」

志貴に出来るのはただ、深々と頭を下げる事しか出来なかった・・・








「と言う訳。私も志貴君が相手だと、すごく気持ち良くなっちゃうから色々志貴君に仕込んじゃったのよ。だから・・・」

この時点で既に誰も聞いていなかった。

笑いながら次々と暴露していく朱鷺恵とは対照的に、ドス黒い怒りのオーラを撒き散らす『七夫人』とレン。

志貴には責任はない。

それはわかっている。

だが、自分達には当時何をしなかったのに、あの時から、朱鷺恵にはやりたい放題やっていたと言う事に、行き場の無い怒りがこみ上げてきた。

そこに

「ただいま」

志貴が最悪のタイミングで帰ってきた。

幸か不幸か、士郎はいないようだ。

「皆」

『うん』

怒りのやり場を見つけたとばかりに発したアルクェイドの言葉に全員頷き、朱鷺恵を残して玄関に向かう。

「あらあら、志貴君頑張ってね」

その語尾に、とでも形容できないすごい音と悲鳴が木霊した。









この後、志貴は三日生死の境を彷徨い、何とか生還した。

ちなみに『七星館』玄関口はまるで隕石でも衝突したかのようにクレーターが出来上がっていたり、木々が枯れていたり、地面が抉れていたりと、戦場の様だった。

「姉さん・・・黙っていて下さいってお願いしたでしょう」

「ごめんね、でもどうせそのうちばれたと思うわよ」

志貴の恨み言に、朱鷺恵は悪びれた様子もなくそう言うだけで、志貴も自業自得と自覚しているのか、深い溜息を吐くだけだった。

戻る